山道を、従兄弟と歩いていたら、
サンダル履きの従兄弟が、蛇に咬まれた。
僕は、従兄弟の敵と叫びながら石を投げた。
何個か石が当たって、蛇は死んだ。
蛇を棒の先にぶら下げ歩いていたら、
田んぼ仕事の小母さんが、蝮(マムシ)だと
教えてくれた。
近くの製材所まで走り、家に電話した。
たまたま、店の客として来ていた男性が、
車で迎えに来てくれた。
蝮は報酬として男性客が持ち帰った。
婆ちゃんは、蝮を持って行かれた事を、
声に出して嘆いた。
僕を虐めていた叔母は、
悔しそうな顔をしながら100円札をくれた。
お金をくれる理由が分からなかったが、
取り敢えず受け取った。
従兄弟は足がパンパンに腫上がったらしいが、
血清が間に合って、命に別状なかった。
さて、一番得をしたのは、誰でしょう?
§従兄弟は30代で鬱になり、一緒に何度も登
った山の中で一人旅立った。
何もしてやれなかった自分が情けなかった。
バイクの免許を取らせてくれた、一番好き
な、兄の様な従兄弟だったのに...。