僕の家は、
駄菓子と併せて、
多少食料品も扱っていた。
毎朝、
バケツをぶら下げ、
豆腐屋に仕入れに行くのが、
僕の仕事だった。
豆腐を切り出す間、
厚揚げを揚げる匂いを楽しんだ。
この間も、
色んな事を空想していたが、
何一つ思い出せない。
スピッツ犬が、
キャンキャン吠える声だけは、
耳に残っている。
今の何十倍もゆったりと、
時間が流れていた。
湯気が立ち昇るオカラに、
醤油をかけ朝食にした。
大金が入った給食費袋を、
失くさない様に、
靴の底に大事にしまい、
小学校に向かった。
靴の底で、
ボロボロに千切れたお札を、
手の平に乗せ、
先生に渡した。