僕が、
唯一心を許した友に、
一番劣等感を感じていた。
テンガロンハットを被り、
青い陸王に跨る彼は、
運動神経も良く、
何をやってもサマになった。
そんな彼は運動音痴の僕と、
何故かいつも一緒にいた。
年を誤魔化し、
失対(失対事業)のおばさん達に紛れ、
水が滴るセメントのザルを、
軍手を頼りに運んだ。
体中が凍り付いた中学の冬休み。
照りつける太陽のもと、
発破で砕かれた、
頭より大きな陶石をかき集めた。
汗まみれになった中学の夏休み。
彼は、
お金には不自由していないはずなのに、
最後まで僕と共にいてくれた。
僕の勝手な頼みを断った事を、
未だに謝罪してくる彼に、
愚痴をこぼそうと電話するが、
なにもかも話が咬み合わない。
...それがまた良い。