中学生の時、
3駅離れた温泉街に有る、
電気店に部品を買いに行った。
温泉街をぶらついた後、
駅で汽車を待っていると
如何にもと言う感じの男に、
「どこの組の者だと」と聞かれ、
「1年2組です」と答えた。
彼の口振りだと、
街に着いた時から、
監視されていたらしい。
かみさんは、
手を繋いで歩きたがるが、
人相が悪く、
黒の野球帽を目深に被る、
僕とでは、
どうも異様に見えるらしい。
かみさんは、
小学生位の背丈しかないので、
年配の人達は、
遠目から怪訝そうな顔をして、
近付いて来る。
お巡りさんが来たら
「叔父さんお菓子を買って
くれるんだよね」と、
大声で言うように教えたが、
まだ成功していない。
小学校に入ったばかりの頃、
親父の行商について行った。
山村で一人のお婆さんに
「この子は凄く良い笑顔をする」
と言って貰ったのは僕の宝物だ。