かみさんに、
バイオリンを習いたいと言った。
講師が勧める、
ドイツ製のバイオリンと、
中国製の弓を買って貰った。
音符の正確さを求める講師と
「こんな感じ」
だけで弾きたい僕とで、
デジタルとアナログの戦いを、
繰り広げた。
生まれ付き難聴で、
特に高音が聞き取り難い僕には、
耳元で炸裂する、
バイオリンの音は恐怖だった。
藤圭子さんがカバーした
「星の流れに」を、
1音下げた調弦で弾くと、
「明日は我が身」と自己陶酔できた。
かみさんが、
買ってくれたバイオリンは、
装飾品となり、
オークションで落札した、
3万円のドイツ製バイオリンが、
藤圭子さんとの語らい用となった。
商店街に在る、
子供食堂の前で、
街頭ライブするのが夢だけど、
シャイな僕には、
絶対できないだろう。